日本の稼ぐ構図が大きく変わってきた。海外とのモノやサービスの取引状況を示す経常収支の黒字額は2016年度にリーマン・ショック前に迫る水準を回復した。
貿易黒字は当時の4割の水準に落ち込む一方、企業が外国の株式などへの投資から得る所得が増えている。
ただ企業が海外で得た稼ぎをそのまま海外に再投資した収益は過去最高。企業などの稼ぎが国内の雇用や税収に結び付きづらくなっている。
16年度の経常黒字額は15年度比13.1%増の20兆1990億円。リーマン・ショック前の07年度以来、9年ぶりに20兆円の大台を超えた。
顕著なのは企業が持つ海外の株式や債券の配当などから得る所得収支の黒字額の拡大だ。
16年度は経常黒字の9割近くを占め、07年度の7割弱から割合は大きく高まった。
なかでも増えているのは日本企業が海外企業に経営参加したり支配したりするために株式などを保有する直接投資から得る収益だ。
16年度は7兆4573億円と07年度の2.1倍に高まった。
リーマン・ショック後に急速に円高が進んだ過程で、企業は海外で稼いだお金を日本に還流させず、海外での再投資に振り向ける動きを強めた。
直接投資収益のうち、再投資から得られた収益は16年度に3兆9631億円と過去最高。07年度の2.5倍に増えた。…
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO16267170R10C17A5EE8000/