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秋田)大曲の花火 開催見送り コロナで
毎年8月、全国の花火師が腕を競う「大曲の花火」(全国花火競技大会)の中止が29日、決まった。新型コロナウイルスの感染を防ぐためで、大仙市の老松博行市長は「市民の健康を守る立場。つらい決断だった」と理解を求めた。
大会には例年、全国から選び抜かれた28社が参加する。昼花火と夜花火を審査し、最優秀の業者には内閣総理大臣賞が授与される、全国的にも権威のある花火大会だ。明治43(1910)年に神社の祭典の余興として始まり、戦争や水害での中止があったが、1948年以降は雨などでの順延はあったものの、毎年開催されてきた。
この日の大会委員会の会議では、桟敷席をやめて安全な距離を確保して椅子を置くことで、観覧会場の観客数を昨年より3分の1に減らすことができるという見通しが示された。しかし、花火を見るために電車や車で大勢の人が市内に集まるため、観覧会場外での密集は避けられないという意見が出た。最終的に全会一致で今回の第94回大会を延期扱いとして、来夏に開くことを決めた。
会議後に会見した会長の老松市長は「(開催して)万一、新型コロナの感染者が出れば、大曲の花火のブランドを傷つけることになる。花火開催を期待されていた人にもわかってほしい」と理解を求めた。
副会長の佐々木繁治・大曲商工会議所会頭は「新型コロナが収まっているという淡い期待もあったが、逆に中央で毎日増えている。無理して行うべきではないという判断だった」と話した。佐々木会頭は、予定していた8月29日に、正常な生活に戻れるようにとの思いを込めた小規模な花火を打ち上げる考えも示した。
同市では夏の大会を核に、季節ごとに異なるテーマで「四季の花火」を展開するが、今年は3月の「冬の章」、5月の「春の章」も開催できていない。
一方で、大仙市などの有志からなる「日本の花火を愛する会」は花火師を励まそうと、夏に全国一斉に花火を打ち上げる企画を立て、インターネットで資金募集している。市も一部資金を補助し、集めた資金で全国の花火会社81社が地元などで打ち上げる。大仙市内の会社も参加する予定。