https://news.livedoor.com/topics/detail/19226606/「金属バットはフルスイング」「耳を切断」凶悪化する“半グレ”はヤクザと何が違うのか?《警察幹部が分析》 から続く
【画像】これが「半グレ」の資金源・振り込め詐欺の“7つ道具”だ
「いまの若い不良は楽をして稼ぎたい。そうなると親分との盃に始まり、しきたりの多いヤクザになるのは損ということになる。大きなシノギ(資金源)を手にすることが出来るなら『半グレ』でいいのだろう」
そう語るのは、首都圏で活動している指定暴力団の古参幹部だ。
暴力団業界が、1992年に施行された暴力団対策法、2011年10月までに全国の自治体で整備された暴力団排除条例の規制の影響で縮小傾向にある。さらに暴力団組員の高齢化も進む中、「半グレ」は増加している。
警察当局が「準暴力団」と定義づけている半グレは、「全国で約60グループが存在し、構成メンバーは約4000人」(警察当局幹部)とされる。
警察庁の最新データ(2019年末)によると、全国の暴力団構成員は約1万4400人。このうち最大組織は山口組の約4100人、次いで住吉会が約2800人だ。暴力団の場合、準構成員(全国で約1万3800人)の活動が確認されているため単純に比較はできないが、「半グレ」の構成メンバー約4000人という数字は山口組の構成員数に匹敵し、国内2番目の住吉会よりも多いことになる。
「警察としては、約4000人の半グレのメンバーに対してナンバリング登録を行っている。そしてリーダー格と構成メンバーについての基礎的な情報収集、さらに活動実態、資金源などの解明に力を入れている」(警察当局の捜査幹部)
まさに、規模の上でも「準暴力団」と呼べる存在となっているからこそ、警察当局は厳しい視線を向けているのだ。
「ヤクザはしきたりが多くて……」
前出の指定暴力団の古参幹部が業界の現状について明かす。
「最近は若い衆が全く入ってこない。確かにヤクザには、しきたりが多い。自分が若いころは、親分の事務所兼自宅に住み込んでいた。『部屋住み』といって食事や掃除などのほか、親分が外出となれば車の運転など、ありとあらゆるお世話をしていた。今の若い衆がこういうことをするのは考えられないだろう」
東京を拠点に活動している別の指定暴力団幹部も、次のように指摘する。
「ヤクザになる若い衆が少なく、半グレとなる者が多いのはヤクザ業界の縮小も原因の一つ。半グレが大きな事件を起こし、マスコミの報道が過熱していたころは、暴排条例などでヤクザが経済的に苦しくなっていたころと重なる」
この幹部が指摘するように、バブル期には6万5000人以上いた暴力団構成員は、バブル崩壊とともに減少。2009年には4万人を切り約3万8600人となっていた。さらに、2011年10月までに全国で暴排条例が施行され経済的な追い打ちとなり、いまでは1万5000人を割りこんでいる。
半グレの名を全国にとどろかせた「関東連合」OBによる「海老蔵殴打事件」が起きたのは2010年11月。全国で進んでいた暴排条例の整備が完了したのは翌年の2011年だ。暴対法や暴排条例による警察当局の厳しい規制で動きが取れない暴力団よりも、いわば「フリーの犯罪グループ」である半グレの方が自由に活動できるというわけだ。
「一生懸命で真面目。かわいい連中だ」