
日本の政治家が社会保障の議論から逃げている訳
■社会保障給付費はGDPの4分の1程度
総選挙で、各党とも財政支出による給付や減税を掲げた。こうした「人気取り政策」が分配政策であるとされる半面で、最も重要な再分配制度である社会保障が抱える深刻な問題は、置き去りにされた。
分配を問題としながら社会保障を争点としない理由は明らかだ。
議論すべき点が、負担の引き上げか、給付の削減に関わるものばかりだからだ。つまり、どの政党も触れたくない問題なのである。
しかし、だからといって先延ばしすれば、より拡大した形となって将来の日本人に襲いかかることは間違いない。
この問題が議論されないことは、与野党ともに、将来に対する責任を放棄していることを意味する。
社会保障制度を通じて、どの程度の規模の再分配が行われているだろうか。
社会保障給付統計によると、2019年度の社会保障給付は、年金55.4兆円、医療40.7兆円、福祉(介護を含む)27.7兆円、合計で123.9兆円だ。これはGDPの22.2%にも相当するきわめて巨額のものだ。
受給者はさまざまな年齢層にまたがるが、主として65歳以上の高齢者だ。
2019年の65歳以上人口は3592万人なので、平均すれば年金は1人当たり154万円になる(ただし65歳未満の年金受給者もいるので、実際の平均年金額はこれより少ない)。社会保障給付合計では、2人で平均690万円だ。これは、2人以上の勤労者世帯の2019年の実収入580万円よりかなり多い。
年金だけで生計を立てている高齢者世帯も多い。高齢者の生活は、社会保障制度がなければ成り立たない。
一方、負担は、主として社会保険料と税だ。社会保険料負担は、本人負担分だけではなく雇用主負担分もある。これらは、主として労働年齢人口が負担する。なお、このほかに積立金の収入もあるが、ごく少ない。
https://news.yahoo.co.jp/articles/51cbced4d512b84c811d4c4e6eeb64bf5b89d67c