追悼 酒井政利さんが語った「“異”の筒美京平と“怪物”阿久悠」
7/28(水) 11:05
二人が組んだ極めつきの作品は『魅せられて』だろう。酒井さんから
「ジュディを大人の歌手に変貌させたい」と依頼された筒美さんは
エレガントでゴージャスな楽曲を提供。難易度の高いメロディに
苦労するジュディを丁寧に歌唱指導し、ミリオンヒットに導いた。
酒井さんはこうも語っている。
「筒美京平という天才的な才能は“異”の人だ。異国の異文化の
音楽を採り入れる異能さは異彩を放ち、異質だが誰もが受け入れる。
京平さんとの作品づくりは触発合戦。その緊張感が実に心地よかった」
では作詞家・阿久悠さんとの仕事はどうか。代表作としては
フォーリーブス『踊り子』(1976年)、郷ひろみ・樹木希林
『林檎殺人事件』(1978年)などが挙げられるが、数はそれほど多くない。
これは二人がライバル関係にあったことによる。
企画力にすぐれ、プロデューサー的な役割も担っていた阿久は
ピンク・レディー、沢田研二、桜田淳子らに詞を提供。同時期に
酒井さんはキャンディーズ、郷ひろみ、山口百恵らを手がけていた。
となれば、タッグは組みづらい。だが、この二人が互いの戦略を
意識しながら英知の限りを尽くしたからこそ、歌謡曲の黄金時代が
到来したのである。プライベートでは何度も旅に出かけたほど
交流のあった二人だが、酒井さんは阿久さんについて、こう語っていた。
「阿久さんとの仕事ではお互いにテーマをぶつけ合って本当に楽しかった。
不思議な会話もいっぱいしたし、まさに怪物だと思いましたね。
阿久さんの晩年にも一緒にアルバムを作る企画があったのですが、
実現に至らなかったのが残念です」
おそらく今頃は筒美さんを交えたヒットメーカー3人で作品づくりを
始めているに違いない。合掌。
https://news.yahoo.co.jp/articles/04d857faf703260a3aa45ec1f9e3c04f83386b20?page=2