アラブの春を機に、立場の違いを強める3国
歴史的にはオスマン帝国とイランのサファヴィー朝、ガージャール朝はしばしば衝突を繰り返してきた。オスマン帝国によって支配されていたアラブ諸国が抱くトルコへの感情も複雑なものがある。
しかし、トルコのエルドアン政権はもともと「ゼロ・プロブレム外交」を掲げ、イランともアラブ諸国とも良好な関係を維持していた。特にイスラエルに対する強硬姿勢を示したことで、アラブ人の間でも人気が急上昇した。
しかし、2010年末以降のいわゆる「アラブの春」で状況が変わってきている。中東地域の紛争について3国の立場の違いが顕著になっていったのだ。
「アラブの春」をきっかけにリビア、シリア、イエメンが内乱状態に陥り、この状況は今も継続中である。まず、シリアに関しては、サウジアラビア、トルコがアサド政権打倒を目指す勢力を支援、イランがアサド政権を支援した。
アサド政権はシーア派に近いアラウィー派である。サウジとトルコはともに反アサドの立場に立ったが、実際には支援する勢力が異なっている。
例えば、トルコはカタル(以下、カタール)とともにムスリム同胞団系の組織を中心に支援していたが、サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)はサラフィー主義系組織や世俗勢力を支援したとされる。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00023/071600186/