>>7 アル中の戸田城聖の素顔
〔一部引用〕
幕あきは教祖であった。
(中略)
そして、想像もしなかったことばかりが起きた。
「グイッとあけな。グイッと」
「……いえ、これから撮影……。仕事中ですから」
「なにィ? それを言うなら、こっちだって仕事中だぞ」
黒ぶちの眼鏡の奥からにらまれ、これはからまれる、と確信したがコップを手にするのも勇気が要った。尋常ならぬ量のウィスキーなのだ。
こんなに荒っぽい飲みかたは見たことがない。角ビンのウィスキーを大ぶりのコップのふちまでドクドク注いで、申し訳のようにほんの少しのビールを垂らして割って、机の上に溢れさせるのだ。その濡れた机の上を、波を立てるようにさらにコップを押してよこして、飲め! とこんどは大声の命令である。
縁側の籐椅子にただひとり坐って、親の仇のように矢つぎばやに酒をあおっているのは、創価学会第二代会長となって六年目の戸田城聖氏。
(中略)
そうこうするうちに屈強な若い人が呼びにきて、戸田氏は立ちあがった。ネクタイは右の肩の上にはね上がり、ズボンは下がってシャツの裾が半分以上出て、みるからに酔漢の姿である。
何によらず、この姿を克明に捉えることが肝要だと、先まわりするため私は講堂へ走った。
(中略)
気になったのは、ひっきりなしに病人が運び出されていることであった。担架もあったが足りないらしく、戸板が使われていた。その上に乗せられ、身をよじったり痙攣したりしている人を、青年たちが運び出すのと次つぎにすれちがった。もともと病人なのか、薄暗い会場の異様な熱気で気分がわるくなるのか、舞踏病のような症状の人が続出しているのである。
(中略)
そして、演台にたどり着いて両手を突くなり、いきなり「説法」ははじまったのである。
「おろかものが!」
開口一番の獅子吼が、この言葉であった。
(中略)
しかも、戸田会長はそれきり口をつぐんで虚空をにらみ、一言も発しない。
(中略)
大音声である。病人が続々と戸板で運ばれた。(中略)
(NHK吉田直哉著『映像とは何だろうか』より引用)