現在オーストラリアでドイツのKF41と激しく採択競争中のAS21装甲車。複数の国で韓国産装備がドイツ製のライバルに浮上している。今後もこうした競争力を維持できるよう努力を続ける必要がある。 ハンファディフェンス
ドイツは固定概念のようになった「製造業強国」という地位のおかげで、商取引で大きな利益を出す代表的な国だ。実際、第2次産業の基本といえる機械・化学分野は世界最高といっても過言でない。販売者のパワーが大きいという声が出るほど、その競争力は独歩的だ。2015年に「ディーゼルゲート(排ガス不正)」があったが、ドイツ製自動車の名声は変わらない。
武器分野での地位はさらに高い。歴史が長いだけでなく、20世紀にあった2度の世界大戦を含めて実戦で多くの戦果があったため、ドイツ製の武器は好まれる。敗戦国ということで戦後は長期にわたり武器の開発・保有に制限があったが、今では世界軍需市場で5本の指に入る。特に伝統の陸軍強国にふさわしく地上軍の武器はトップ級という評価を受ける。
それでドイツ製武器は長い間、韓国には羨望の対象だった。韓国戦争(朝鮮戦争)後は米国製武器に対する依存度が高く、取引は多くないが、韓国海軍の本格的な潜水艦の歴史を開幕した張保皐(チャン・ボゴ)級のように意義のある武器が供給された。最初の国産戦車K1の誕生にドイツの役割が作用した事例のように、防衛産業の取引においてドイツをテコにしたりした。
1970年代半ばに韓国政府は北朝鮮に後れた機甲戦力の格差を解消しようと米国にM60戦車の免許生産権を要請した。しかし米国はすでに供給したM48戦車なら十分だとして拒否した。いくら当時のジミー・カーター米大統領が朴正熙(パク・ジョンヒ)政権と対立したとはいえ、当時イエメンやエチオピアにもM60が供給された点を考慮すると、これは極めて不快な決定だった。しかも韓国は冷戦時代の西側の最前線だった。
このため韓国政府は西ドイツと接触した。ちょうど西ドイツはレオパルト2戦車の開発を完了して配備を控えていた時期だったため、退役するレオパルト1戦車の生産施設を韓国に移し、これを基盤にM60に匹敵するレオパルト1の韓国型を開発して供給する案を提示した。韓国政府がこれを前向きに検討すると、驚いた米国があたふたと国産戦車の開発を支援すると明らかにした。
西ドイツは米国の同盟だが、戦車をはじめとする機甲装備は市場で激しく競争する関係だった。特に西欧ではドイツ製の戦車が広まっていた。こうした状況で韓国までがドイツ製戦車を導入すれば、東アジア市場に大きな影響を与える可能性があるため、米国が焦って動きだしたのだ。このようにM1エイブラムス戦車の技術を基盤に誕生した戦車が現在の国軍主力のK1だ。
紆余曲折があったが、韓国が最初に念頭に置いていたM60よりも性能が高い第3世代の戦車を適期に導入して国産戦車時代を開くことになったのは、このようにドイツの存在が大きな威力を発揮した。その後も国産装備を開発する際には、同種のドイツ製武器がベンチマーキングの対象、性能評価の基準となった。技術力不足で国産化に苦労した部品の主な調達先でもあった。