モビルスーツ開発史といったガンダムの前日譚を、安彦氏が骨太の筆致で描き切った。アニメでは安彦氏が総監督を務める。
本作の魅力はそのストーリーもさることながら、驚異的なクオリティの作画抜きには語れない。
誰もが「描くのが難しい」と指摘する安彦氏の絵が見事に再現されている。
今回は、安彦氏と共同でキャラクターデザインを行ったことぶきつかさ氏、
総作画監督の西村博之氏、メカニカル総作画監督の鈴木卓也氏、プロデューサーの谷口理氏、
および安彦氏が一堂に介し、作画面での苦労について語ってもらった。
■漫画の絵柄を忠実に再現
――『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では安彦良和さんの漫画の絵柄が忠実に再現されています。
いろいろな人が手分けして描いていらっしゃるのでしょうが、総監督の安彦さんから見て、
「よくここまで俺の絵を再現したな」あるいは「自分の絵とちょっと違うな」どちらでしょうか?
安彦:僕が現役だったときには、「あなたの絵は描きにくい」って散々言われたので、第1話ができたときに、
「奇跡的に安彦の絵が再現されている」と言われて、うれしかったんですよ。
だからスタッフのみなさんに感謝の気持ちでいっぱいです。
このあいだ第1話から第5話までのオールナイト上映を見たら、第1話よりもだんだん良くなってる。
これ総作画監督の西村博之さんはどう思っているのかな。俺の口から言うのもどうかなと思うけど、
みなさんキャラ慣れしてきてるよね?
西村:それはあると思いますね。あと、やっぱり安彦さんの絵も変わっているので。(一同笑)
安彦:そうなの? この年になると変わらないと思うんだけど。
西村:変わることがすごいことです。全体的にキャラクターがおとなっぽくなってきた。
ことぶき:初期の安彦さんのキャラクター設定は「アニメの設定ってどうやるんだっけ」みたいな探りがあった気がするんですけど。
後半はすごく慣れて、自然に描かれているなぁという感じはしました。
――安彦さんのキャラクターデザインと、ことぶきさんのキャラクターデザイン、何か役割分担とかあるんですか?
安彦:一応メインとサブみたいな。でもメインキャラもことぶきさんにずいぶん振っちゃったので。
僕自身が「ちょっとこれは手放したくないな」みたいなのが残っただけで。
キャラクターの8割ぐらいはことぶきさんが描いてるんじゃないかな。
ことぶき:そこまでは多くないと思いますが、セリフのないキャラクターも含めると、それぐらいになるんですかね。
安彦:ことぶきさんが描くと、特に女性がすらっとした美人になるんですよ。でもそれではスマートすぎるんで(笑)。
「メインを俺がやるよ」という、それが最初の分業だね。
ことぶき:そうですね。あとザビ家は思い入れがあるということで、安彦さんが仕切られた。
――安彦さんの絵柄をみなさんちゃんと描けるんですか。
西村:なかなか描けないですね。自分も一応、総作画監督やってますけど、そんなに似ないですよ。
原画マンが描いて、それに修正入れて上がってきたものを、さらに修正入れて、なんとか似る。
少しずつ微調整して寄せていかないと、一発でその絵にはならない。
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画像:ことぶきつかさ氏
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東洋経済オンライン
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続く)