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番組の途中ですがアフィサイトへの転載は禁止です (ワッチョイ 5aee-fgxD)
2017/01/30(月) 18:55:59.78 ID:1iK/f1EP0

昨年末にニューヨークの夜の街を歩いたのだが、街頭は暗く、建物は古く、道はあちこちが工事中だった。久しぶりにタイムズスクエアも訪れたが、
六本木や銀座、あるいは香港やシンガポール、北京や上海と比べても、なにもかも古ぼけて見えた。ひとことでいえば、街がしょぼくれているのだ。
私はこれが、自分が年をとったせいだと思っていたのだが、トーマス・フリードマンとマイケル・マンデルバウムの『かつての超大国アメリカ』(日本経済新聞出版社)を読むとそうでもないらしい。
当のアメリカ人が、自分たちの国はすっかりしょぼくれてしまったと思っているのだ。
トーマス・フリードマンはニューヨーク・タイムズの名物コラムニストで、世界的なベストセラーとなった『フラット化する世界』『レクサスとオリーブの木』で知られる。
マイケル・マンデルバウムはジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究所大学院教授で、『フォーリン・アフェアーズ』やニューヨーク・タイムズなどに寄稿する国際問題の専門家だ。
『かつての超大国アメリカ』は、そんな2人が世界金融危機後のアメリカに向けて(本の発売は2011年)、グローバル化する世界の中で政治や経済、社会をどのように変えていくべきかを提言したものだ。
この本は、中国の天津とワシントンD.C.の地下鉄から始まる。
世界経済フォーラムの年次総会(サマー・ダボス)に参加したフリードマンは、5年前には存在しなかった超モダンな北京南駅から高速鉄道に乗り、115キロをわずか29分で走り抜けて超モダンな天津駅に着く。
会議が行なわれた天津梅津会議・展示センターは延床面積23万平方メートルの巨大施設だが、案内によれば2009年9月15日から2010年5月までの8カ月で完成した。
ひるがえって2人が仕事をするワシントンD.C.の地下鉄メトロレールのベセズダ駅は、短いエスカレーター2本が6カ月ちかく修理中のままになっている。
1本が修理のため通行できないので、もう1本が上下両方向の階段代わりに使われ、ラッシュアワーのときは大混乱が起こる。
たんなる“設備改善”になぜこんな時間がかかるのか調べたところ、ワシントン首都圏交通局のコメントが見つかった。そこには次のように書かれていた。
「修理には約6カ月かかる予定で、予定どおり進んでいる。作業員はエスカレーター1本の修理に10週間ないし12週間かかる」
インフラが老朽化して手に負えなくなっているのはワシントンD.C.だけではない。2009年、米国土木学会(ASCE)が“アメリカのインフラ成績表”を発表したが、
「C」を平均として、「固形ゴミ処理が最高点でCプラスだった。つぎに高いのが橋梁でC。つづいて、線路と公園及び娯楽施設の2項目がCマイナス。
航空、ダム、有蓋(ママ)廃棄物、内陸部水路、堤防、道路、学校、公共輸送機関、下水など、その他のインフラは全種DもしくはDマイナスだった」。
さらに問題なのは、インフラが老朽化すればするほど補修費がかさみ、政府や自治体が修繕に及び腰になることだ。
ASCEの推計では、アメリカのインフラ補修費は2005年に1兆6000億ドルだったが、それが2009年には2兆2000億ドルになった。
わずか4年で40%近くもコストが上昇するのなら、いまはいくらになっているか考えるだけで恐ろしい。
――だからアメリカの政治家は考えることをやめたのだろう。
世界でもっとも早く近代化に成功したアメリカは、もっとも早くインフラの老朽化に直面した。アメリカの都市がどんどんしょぼくれていくのは、私の偏見というわけではなさそうだ。
アメリカの高校生の四分の一が読み書きができない
アメリカは世界でもっとも優れた大学教育を提供しており、ハーバード、MIT、スタンフォードなどの有名大学には世界じゅうから優秀な若者が集まってくる。
彼らはその後、ウォール街の金融機関やシリコンバレーのIT企業に就職し、アメリカを金融、テクノロジー、イノベーションの中心地に押し上げた。
だがその一方で、当のアメリカ人の教育水準は惨憺たるレベルにあると、フリードマンとマンデルバウムは嘆く。『かつての超大国アメリカ』には、驚くべき数字が列挙される。
ワシントンD.C.を本拠とする学生支援組織エデュケーション・トラストが行なった調査によれば、アメリカ陸軍に入隊を希望する高卒者の23%が入隊テストに必要な最低点がとれない。
その問題は、「2+x=4のとき、xの値は?」というような初歩的なものだ。
ブルッキングス研究所の教育問題専門家によれば、2009年、高校の最上級生の26%が、全国統一テスト(NAEP)で基本リーディング・レベル以下の成績だった。
これはかんたんにいうと、読み書きができないということだ。
http://diamond.jp/articles/-/115783?page=2