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https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170727-00012669-wsj-int
米国で中間層の仕事がなくなったという政治家や識者の声を耳にしていれば、4年制大学の学位がなくても年収3万5000ドル(約400万円)以上を得られる働き口が3000万件あるというのは驚きだろう。
今度は悪い知らせだ。ジョージタウン大学の教育・労働力センターによると、米国には大学の学位を持たない労働者が7500万人いる。
つまり、上記のような「良い仕事」1件につき2.5人がいる計算であり、高卒者の雇用環境は25年前に比べてはるかに厳しくなっているという。
同センターは、45歳未満なら年収3万5000ドル超、45歳以上なら年収4万5000ドル超を「良い仕事」と定義している。
非大卒者向けの「良い仕事」は、1991年には2700万件だったが、2015年には3000万件に増えた。
ただ、労働市場全体も拡大しており、「良い仕事」に占める非大卒者向けの比率は、1991年の60%から2015年には45%に低下した。
その結果、4500万人の労働者が低賃金の仕事や、時としてパートタイムの仕事に就かざるを得なくなり、中間層への道が断たれる格好となった。
第二次世界大戦後、米国では製造業の仕事が国民の多くを中間層に押し上げた。現在、非大卒者向けの中間層の仕事は、金融サービスや医療関係の分野で増えている。しかし、こうした仕事を得るには高卒資格だけでは不十分だ。
同センターの調査によると、4年制大学の学位取得者を除くと、1991年当時と比べて「良い仕事」に就ける確率が高いのはカレッジで得られる準学士号を持つ人だけだ。
高卒者や中退者、一部のカレッジ卒業者が置かれた環境は、1991年よりも2015年の方が厳しいという。
収入の良い仕事を得る方法は残されているものの、労働市場全体との比較では、非大卒者が生活賃金(フルタイム雇用で時給17ドル以上)を稼げる額やそれ以上の収入を得られる仕事は減っている。
同センターのアンソニー・カーナベル所長は、そうした仕事では何らかの中等後教育(高卒後の教育)が必要とされる傾向が強まっていると指摘。
コミュニティ・カレッジや資格取得コースなど「仕事に直結するプログラムに参加する必要がある」と語る。
労働者もそうした現状を受け入れつつある。米国コミュニティ・カレッジ協会(AACC)によれば、電子工学や危機管理、映像制作といった就職を意識した資格の授与件数は、2000年から2014年の間に2倍以上に増えた。
(略
ジョージタウン大は今秋、JPモルガン・チェースと協力し、「良い仕事」指数の算出を始める。これは、非大卒者が生活賃金以上を稼げる職業や、そうした仕事の就業機会がある州の状況を示すものだ。
1991年には、非大卒労働者向けの「良い仕事」の27%は製造業にあった。この数字は2015年には16%にまで下がったが、グローバル化と自動化を通じて雇用主が人件費を削減する中、今後さらに下がる可能性がある。
同センターは報告書を作成するに当たり、1991〜2015年の国勢調査を分析。非大卒者向けの「良い仕事」の構図には変化があったが、こうした仕事に占める女性の比率は約30%でほとんど変わっていないという。
(おしまい。