「死にたい」とネットに書く人に伝えたいこと
3/13(水) 11:00配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190313-00270345-toyo-bus_all
自殺願望を抱える人たちがインターネット掲示板やSNS上で後を絶たない。
しかし自殺を予防する手立てが少しずつ効果を上げ始めている(写真:bee/PIXTA)
「死にたくなってしまった者同士が匿名で相談を行うコミュニティーが自殺を予防するという仮説は幻想であったと言える」
これは2019年1月にナカニシヤ出版から出版された『自殺対策の新しい形』にある一節だ。
著者の末木新(すえき はじめ、36歳)さんは、学生時代からインターネットと自殺の関わり合いについて研究してきた。
博士論文をまとめた書籍『インターネットは自殺を防げるか』(東京大学出版会、2013年)では、希死念慮や自殺願望を抱える人たちが集まる
掲示板サイトの管理人や利用者など約30人にインタビューし、救われた事例や心が落ち着いた事例などを紹介している。
■自殺掲示板の現状
自殺掲示板で来訪者の相談役を担っていた男が、青酸カリ入りカプセルを渡した相手を死なせて自分も死んだ1998年の「ドクターキリコ事件」や、
2000年代の頻発した自殺系サイトを介した集団自殺事件、最近では2017年10月発覚の「座間9遺体遺棄事件」など、
ネットと自殺の組み合わせはとかくネガティブな文脈で世間の耳目を集めることが多い。
そうしたなかで、インターネットのポジティブな効果を探り続けた研究者の言葉だと思うと、この一文はなかなかに重い。
なぜこの結論に至ったのか。それを知るために、まずは自殺系サイトの代表格である自殺掲示板の現状をつかんでおきたい。
自殺掲示板はバッシングの対象になりやすく、利用者の書き込み内容などを根拠に閉鎖に追いやられたり、
レンタルサーバーや掲示板の利用許可が下りなかったりする状況が続いているが、それでも「自殺掲示板」と検索すれば現役で運営している複数のサイトにたどり着ける。
大抵の場合、トップページには「集団自殺募集の禁止」や「宗教団体等の勧誘禁止」「個人情報の記載禁止」といった
複数のルールがずらりと並べられており、その下に「入室」ボタンや掲示板のスレッド一覧などが置かれている。
文字とスペースで画面を埋め尽くすこれらの断り書きは、これまでのバッシングやトラブルへのせめてもの対策であり、
できる限り理論武装してどうにか場を守りたいという意思の表れのように映る。