
スイスで1898年、世界史に新たな1ページを刻む事件が発生した。シシィの愛称で親しまれたオーストリア皇后のエリーザベトが、ジュネーブでイタリア人アナーキストに刺殺されたのだ。
この事件は世間を震撼させ、スイスは世界中から怒りを買った。しかしスイスは寛大な難民政策を守り通した。
ピーっという汽笛を鳴らし、蒸気船ジュネーブは間もなく出航する合図を出した。
皇后エリーザベトと女官は、蒸気船に乗るため渡り板を歩こうとしていた。
すると見知らぬ人物が二人に向かって突進し、皇后の胸を鋭いもので突き刺した。
皇后が静かに地面に崩れ、通行人がすかさず皇后の体を支えた。言い伝えによれば、女官は不安そうにこう聞いたという。
「皇后陛下、ホテルに戻られた方が良いのではありませんか?」。すると皇后は答えた。
「いえ、何でもありませんよ。男に刺されたのは胸のあたりだけです。私の時計を狙っていたのでしょう」
笑みを浮かべ牢獄へ
盗人と思われたその男が現場から逃げ出そうとしたため、馬車の御者二人が追いかけ、男を抑え込んだ。
二人が警察に男を突き出すと、男は突然「俺は彼女を刺せた」「彼女は死んだに違いない」と楽しげに歌いだした。
警察署では、男は役人に向かって自分はアナーキストであること、そして全てのアナーキストに自分と同じ義務感があれば、ブルジョア層も不平等もやがてなくなると語った。
ルイジ・ルケーニがジュネーブの警察官2人に連行される様子。ルケーニは微笑みを浮かべていた
![【画像】人生の目的を成し遂げた男の笑顔が素敵すぎると俺の中で話題に。これ名誉ケンモメンだろ [382383315]->画像>9枚](https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/b/b2/Luigi_Lucheni.jpg)
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