ブラジル政府は25日、新型コロナウイルスの新たな死者が807人だったと発表した。前日に1日の死者数で米国を抜き、国別で世界最多となっていた。
欧米では感染のピークを越え、新規の感染者数・死者数とも減少しているが、ブラジルをはじめとした中南米諸国では感染拡大が続いており、新たな震源地になっている。
米ジョンズ・ホプキンス大の集計(日本時間26日午前8時時点)によると、ブラジルの24日の死者数は653人で、米国は633人だった。
週末は統計上の死者数が少なくなる傾向があるが、ブラジルが米国を抜いたのは同大の集計では初めてとなる。
ロイター通信によると、25日も米国の死者数は620人で、ブラジルは引き続き米を上回ったようだ。
米国の1日あたりの死者数は4月下旬の約2600人をピークに減少が続く一方、ブラジルは増加が続いている。
ブラジルは累計の感染者数が約37万5千人と、米国(約166万人)に次ぎ世界で2番目となっている。
欧米諸国に比べ検査や医療態勢が脆弱で、統計に表れない水面下での感染はさらに進んでいる可能性が高い。
こうした事態にも関わらず、新型コロナを「ただの風邪」と呼ぶボルソナロ大統領は感染対策に消極的な姿勢を続けている。
ボルソナロ氏は24日も大統領府に集まった政権支持者の集会にマスク無しで参加し、握手や自撮り(セルフィー)に応じた。
多くの州では外出自粛などを導入しているが、ボルソナロ氏は制限は不要とする立場を崩していない。
一方、米政府は25日、ブラジルに過去14日間以内に滞在した外国人の入国を禁止する措置を当初の予定から早めて26日から実施すると発表した。
中南米ではメキシコやペルー、チリといった国でも感染が拡大しており、死者の増加が続いている。
各国とも所得格差が大きく、衛生状態が悪い場所に住んでいる低所得者層の感染が問題となっている。
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