―― キャリア(オペレーター)との付き合いで学びがあったとおっしゃっていましたが、どのような学びがあったのでしょうか。少し、具体例を挙げていただけますか。
ワン氏 1つ例を挙げるとすると、日本のオペレーターはユーザーエクスペリエンス(以下、UX)を重視しています。これは、世界中の多くのキャリアが注目していないことです。auとの協力によって、われわれのソフトウェアのUXを改善することもできました。その意味で、日本のユーザーは非常に幸運だと思います。世界中で、ここまでユーザー視点を持って真摯(しんし)に考えているオペレーターは、そんなにはありませんからね。Xiaomiはグローバルでスマートフォンビジネスを展開していますが、やはりビジネス視点だけで見ているところが多いと思います。
―― UX以外に、通信についても何か得られること、大変だったことなどありましたか。
ワン氏 品質という意味で、日本のキャリアは非常に細かいところまで見ています。私たちとは違う角度から、品質を見ている。全体として、私たちの能力を底上げすることができました。auの採用しているプロセスは非常に堅牢で、パートナーシップには満足しています。
5Gに対するアプローチがKDDIと合致していた
―― 一方で、その品質を満たすのが難しいことが、海外メーカーにとっての参入障壁になっています。Xiaomiはそこがかなり早く、日本上陸後、すぐにKDDIに採用されました。秘訣(ひけつ)を教えてください。
ワン氏 特に秘訣はありません(笑)。ただ、5Gに対するアプローチはKDDIと戦略的によく合致していた……少なくとも、私たちから見て、そう言えます。日本で展開するのは非常に難しいため、うまくやっていくには、ある程度の覚悟が必要になります。それもあって、私たちはこのプロジェクトを成功させるため、本社に、他のプロジェクトから100人のエンジニアを回してもらいました。これは、私自身がCEOに要請したことです。成功するには、そのぐらいの覚悟を持ってやる必要があると考えています。
―― その意味で言うと、Mi 10 Lite 5Gを日本向けにカスタマイズした部分はあるのでしょうか。
ワン氏 カスタマイズしたのは、ネットワークとソフトウェアです。逆に、ハードウェアはグローバル版とほぼ同じです。ネットワークは、対応バンドをKDDIの持つ周波数に合わせるところで、微調整しました。ソフトウェアについても、日本向けにUXを向上させた部分があります。コピー(文言)も、日本向けにこだわって改善しています。
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