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https://mainichi.jp/articles/20201105/ddm/035/050/054000c
Road・to毎日甲子園ボウル 「台頭」桜美林大、関東TOP8で初勝利
<三菱電機杯>
食堂、指導者…環境スペシャルに
アメリカンフットボールで着実に階段を上がってきた関東大学リーグの桜美林大が、初挑戦の1部上位リーグ「TOP8」で2試合目にして初勝利を挙げた。東京都調布市のアミノバイタルフィールドで10月31日にあった第2節で、「毎日甲子園ボウル」5回出場の明大に17―7で逆転勝ち。「筋肉食堂」や人工芝グラウンド、指導者招へいなど、近年の環境整備が実を結んできた。
明大戦は第3クオーターで7―7の同点に追いつき、迎えた第4クオーター5分、練習してきた「スペシャルプレー」がコールされた。1年のQB水越直(なお)は「緊張した。でもワクワクした。決めないわけにいかないパスだった」。マークを振り切ったWR宮沢稜(2年)の胸元へ、30ヤードの放物線を描いて送り届ける。勝ち越しのタッチダウン(TD)へとつなぐと、水越はベンチに駆け寄り、仲間たちと跳び上がって喜んだ。甲子園ボウルへ望みをつなぎ、勝利の立役者となった。
桜美林大は学園創立100周年となる2021年までの「大学日本一」を掲げる。アメフト部は大学の「特別強化クラブ」に指定され、グラウンド近くに整備された選手寮を使用でき、寮には「筋肉食堂」がある。高たんぱく、低カロリーをテーマに東京都内でレストランを展開する「筋肉食堂」と協力し、管理栄養士による配慮が行き届いたアスリート向けのメニューが提供される。
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強豪大学では一般的な、グラウンドの人工芝化を進め、経験豊富な指導者も招へいし、有望選手も集まってきた。横浜高時代から活躍した水越は「恵まれた環境に引かれて入学した」と話す。12年にリーグ3部だったチームは13年に2部、17年には1部へと昇格した。
昨年、1部下位の「BIG8」と上位の「TOP8」との入れ替え戦に勝って関東最高峰の舞台に上がり、迎えた今季は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で対外試合が制限された。社会人チーム・アサヒビールのコーチとして日本選手権「ライスボウル」優勝経験があり、就任8年目の関口順久監督は開幕前に「チーム作りに非常に苦労した」とこぼすほどだった。それでも選手たちはオンラインミーティングで戦術理解を深め、個々の体作りで力を蓄えてきた。
新型コロナの影響で4校ずつA、Bの2組に分かれ、1回戦総当たりのリーグ戦となった今季。10月17日の第1節では昨季関東王者の早大に6―9と肉薄した。桜美林大が入るB組は新型コロナの感染者が出て早大―立大戦が中止になり、今月14、15日の最終節を残し、立大を除く早大、明大、桜美林大が1勝で並ぶ。3校にB組1位となる可能性があり、桜美林大は14日の立大に勝つことが1位への絶対条件となる。関口監督は「やっと日本一を狙えるところまできた。勝っていくしかない」と覚悟を口にした。