
新型コロナウイルスのワクチン接種が進む南米チリで、新規感染者の高止まりが続いている。
すでに国民の25%以上が1回目の接種を終えた「ワクチン先進国」で、なぜ新規感染者が減らないのか。
ワクチンが遠因になっているとの指摘もある。
「すべてのチリ人に与えられたメリットだ」。チリのピニェラ大統領は16日、Vサインを掲げ、うれしそうに演説した。
この日、予定より半月も早く500万人が1回目の接種を終えた。チリは人口1900万人ほどで、国民の4分の1にあたる。
英オックスフォード大によると、接種のペースはイスラエルを抜き、世界一になった。
チリは親米政権ながら、中国メーカーなどからもワクチンを購入し、ワクチン確保に成功。
2月上旬から接種を始めた。これまでも感染症対策として、
多くの予防接種キャンペーンに取り組んできたことなどもあり、接種計画が順調に進んだ。
6月までに1500万人に接種する予定だ。
米CNNやAP通信などは、チリが中南米だけでなく、世界でも有数の「ワクチンのリーダー」だと評価する記事を掲載。
ワクチンによる集団免疫に、いち早く達する可能性があると期待されている。
だが、チリ保健省の発表によると、18日の新規感染者は6249人。
6千人を超えたのは第1波に襲われていた昨年6月以来になる。3月に入ってからは、5千人を超える日が続いており、
累計感染者数は90万人を突破した。
どうして新規感染者が減らないのか。チリでは、
ワクチン接種が人々の気の緩みに拍車をかけた可能性が指摘されている。
チリの医師「ワクチンを打って終わりではない」
高齢者が接種を済ませて重症化リスクが減ったと考え、
それまで外出を控えていた人たちも出歩くようになったというのだ。
https://www.asahi.com/articles/ASP3M7WZXP3MUHBI00V.html