https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE14DGU0U2A110C2000000/ 天皇陛下、コロナ禍収束願い歌に 「窓」お題に歌会始
新年恒例の宮中行事「歌会始の儀」が18日、皇居・宮殿「松の間」で行われた。「窓」をお題に天皇、皇后両陛下や一般の入選者らの歌が披露された。天皇陛下は昨年に引き続き、新型コロナウイルス禍収束の願いを込められた。昨年20歳の誕生日を迎えた両陛下の長女、愛子さまは儀式への参列は見送ったが、初めて歌を寄せられた。
儀式には両陛下や秋篠宮さまら皇族方が出席。新型コロナ感染防止のため、古式にのっとった独特の節回しで歌を披露する披講諸役(ひこうしょやく)は昨年と同様、フェースシールドを着用し、机にアクリル板を設置するなどの感染防止策をとって開催された。
陛下は、コロナ禍が収束した先に、大きく落ち込んでいる人々の往来が再び盛んになる日が訪れるようにとの願いを歌に込められた。皇后さまは新たな住まいとなった皇居・御所の窓から見た緑豊かな情景を詠まれた。
愛子さまは、高校2年の夏休みに英国の名門私立イートン校のサマースクールに参加した時の思い出を歌にされた。歴史の重みを感じさせる建物を目の前にし、今ここから世界が開かれようとしているという気持ちを表現された。
儀式には、一般応募の1万3830首から選ばれた入選者らも招かれ、それぞれの歌が朗詠された。陛下に特別に招かれて歌を披露する召人(めしうど)は、仏文学者の菅野昭正さん(92)が務めた。
入選者は儀式後に両陛下と面会し、記者会見にも臨んだ。夫を亡くしても変わらない情景を詠んだ東京都の三浦宗美さん(68)は、陛下から「辛かったですね」、皇后さまから「きっとご主人がどこかでみていらっしゃいますね」と声を掛けられたといい、うれしそうに振り返った。