熊本県の旅行割引事業を巡る県上層部の対応を問題視した公益通報を受け、
第三者調査委員会が4月に調査報告書を公表した翌日、
県が公益通報者をパワハラを理由に懲戒処分にしていたことが11日、分かった。
代理人の樋口雄三弁護士と板井俊介弁護士が、通報者は県職員だと明らかにした上で、熊本日日新聞の取材に答えた。
公益通報者保護法が禁じる「不利益な取り扱い」に当たると訴え、
県人事委員会に不服を申し立てている。代理人らが近く記者会見する。
(中略)
通報者は、旅行割引事業「くまもと再発見の旅」に関する助成金の不適切受給の疑いを調査していた。
公益通報によると、昨年2月に特定の旅行業者を追加調査しようとした際、
当時の県上層部から別の上司を通じて「もうよかろ」「ミリミリ(ミリ単位で)詰めるな」
などと見逃しを指示されたと訴えている。通報者は拒否し、調査担当を外されたという。
課長級職員である通報者は今年4月の定期異動で、
課長補佐級が就くことが慣例の役職に異動になったとして
「業務はほとんど割り当てられず、事実上の降格だ」と訴えている。
熊日の取材に「公金の使途に疑問を呈したら逆に処分された。耐えられない」と話した。
公益通報を受けて県が設けた第三者委は4月、助成金の不適切な受給はなく、
県上層部による「見逃し」指示もなかったとする報告書を公表した。
通報者側はこの内容について「重大な事実誤認がある」として今後、具体的に反論するとしている。