>>2 以下の書類は、いわゆる「Abmahnung」(警告書・差止請求)に関する内容と見られます。ドイツでは、著作権侵害や商標侵害などの知的財産権侵害があった場合に、権利者(あるいはその代理の弁護士事務所)が、侵害者と思われる相手に対して「将来このような侵害行為を行わない」旨の誓約(Unterlassungserklärung)の提出と損害賠償の支払い等を求める警告書を送付することがよくあります。
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### 1. 書類の概要
- **目的**
文面から、「(何らかの)侵害行為を止めることを誓約する書類(Unterlassungserklärung)を提出し、さらに損害賠償等を支払うよう求める」警告・請求書です。
一般的には、著作権侵害(画像・動画・音楽・ソフトウェア等)や商標権侵害などでよく見られます。
- **請求額の内訳**
1. **Gegenstandswert(対象となる請求額の算定基準)**
- Unterlassungsanspruch(差止請求)の対象額が1,000ユーロ
- Schadensersatzanspruch(損害賠償請求)の対象額が700ユーロ
- 合計 1,700ユーロ
これらはあくまで「法律上の費用計算を行うための基準値」であり、そのまま支払う金額ではない、という注意書きがあります。
2. **Rechtsverfolgungskosten(法的措置のための弁護士費用など)**
- 1.3 Gebühren(RVGの2300番という料金項目): 215.80ユーロ
- Auslagenpauschale(雑費・郵送費等、RVGの7002番): 20.00ユーロ
- **計 235.80ユーロ**
3. **最終的な総請求額**
- Rechtsverfolgungskosten(上記の弁護士費用など): 235.80ユーロ
- Schadensersatz(損害賠償): 700.00ユーロ
- Umsatzsteuer(ドイツの付加価値税19%): 44.80ユーロ
- **合計 980.60ユーロ**
上記より、宛先となっている相手に支払ってほしいとされる合計金額は980.60ユーロとなっています。
- **「支払いを拒んで裁判になった場合」の警告**
書類には「裁判になった場合、さらに高い費用が発生し得る」という趣旨が書かれています。具体的には、裁判所が Streitwert(訴訟価額)を1,000ユーロではなくもっと高いと判断する可能性があり、結果として請求額(弁護士費用など)が上がるという警告です。
- **Unterlassungserklärung(差止・今後侵害しない旨の誓約書)提出期限**
文面には「遅くとも 30.01.2025 までに署名した誓約書が届く必要がある」と記載があります。これは、一般的な警告書において「何日までに誓約書を返送しない場合、法的手段に進む」といった期日の指定にあたります。
- **Umsatzsteuerに関する注意**
この警告書は税法上「課税対象となる役務提供」扱いであり、19%の付加価値税が弁護士費用や警告行為にも課されるとの説明があります。ただし「この書類自体は正式な請求書(Rechnung)ではないため、Vorsteuerabzug(仕入税額控除)には使えない」という点が明記されています。
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### 2. どのような意味を持つ書類か
1. **法的請求書の一種**
警告書(Abmahnung)は、ドイツでは頻繁に用いられる法的手続きで、裁判外での問題解決を目的としています。弁護士費用や損害賠償などを、訴訟前にまとめて請求し、相手に早期の対応を迫ります。
2. **Unterlassungserklärungの役割**
問題とされている行為(著作権侵害や商標権侵害など)を「今後は行わない」ことを法的に約束し、もし再度同じ行為を行った場合には定めた違約金を支払う義務を負う、という書類です。
- これを提出しない場合、差止請求などで法的手続き(仮処分や本訴)が進む可能性があります。
- 提出した場合も、違約金などの条件があるため内容をよく検討する必要があります。
3. **支払い義務の発生と法的リスク**
書類には弁護士費用・損害賠償・付加価値税が合計約980.60ユーロと明記されています。支払いを拒否すると裁判手続きに移行し、さらに高額の費用が発生する可能性があるというのが一般的な警告書の流れです。